天声人語でわたしの言葉を耕したい
今日から、私のことばを紡ぐ力を磨くべく、天声人語の要約、感想を記していきたい。
俳優のムロツヨシさんは、1浪して東京理科大の数学科に入学し、すぐ不安になった。数学は得意なつもりだったのに授業についていけない。将来やりたいこともはっきりしない。そんなときファンだった深津絵里さんの出ている芝居を見に行き、役者たちの演技に感動した▼「僕もあっちに行きたい!」と思い、夏には大学をやめてしまったとポパイ特別編集『二十歳のとき、何をしていたか?』で語っている。本人いわく「根拠のない自信」で走り出した。3年くらいの下積みの後はテレビや映画に出て……などと皮算用しながら▼しかし芽は出ず、日雇いバイトばかりの25歳のある日、涙が止まらなくなった。「根拠ない自信を使い果たしちゃったんでしょうね」。それからは余計なプライドは捨て「僕を使ってください」とみっともないくらいに言って回ったという▼あの独特の存在感。それを形作るに至った若き日である▼たしかに根拠など気にしたら、自信は持てない。だって経験がないのだから。しかしその自信はどこかでくじかれる運命にある。だって根拠がないのだから。それでも何かエンジンを身につけることで、人は前へ動き出すことができるのだろう▼きょうは成人の日。十分若くても、気持ちだけは若くても、自分のなかのエンジンを探りたい。「夢」というと気恥ずかしければ「好き」「こだわり」という言葉もある。空回りもむだではない。ムロ青年にとって「根拠なき自信」の時期が必要だったように。
(2021年1月11日「天声人語」『朝日新聞デジタル』(2026年10月13日閲覧)
要約
俳優のムロツヨシは、将来やりたいこともはっきりせず悶々と大学生活を送っていた。そんなとき、深津絵里の芝居に感動したことをきっかけに俳優を目指すようになる。ムロは「根拠なき自信」のもと、走り出した。しかし芽は出ず、日雇いバイトばかりの25歳のある日、涙が止まらなくなった。「根拠ない自信を使い果たしてしまったんでしょうね」と当時を振り返る。そこから、余計なプライドは捨て再び走った。たしかに、「根拠なき自信」は万能ではない。しかし、「根拠なき自信」による空回りの時期も経ることで、自分の中のエンジンに気づき、再び人は前へ動き出すことができるのではないか。
感想 受け取ったこと
自分の中のエンジンはなんだろうか。ここでは、夢、好き、こだわりとも表現されている。私が動かされるもの。私の心が踊るもの。つまり、行動の原動力になりうるもののことである。心理学用語でいうと、内発的動機づけというのだろうか。
紆余曲折。彷徨う。それも、必要な時期なのだと、ムロツヨシさんの生き様が肯定してくれた。
私ものらりくらり、自分のなかの熱にしたがって生きていきたい。
大切なのは、自分のエンジンを探ること。私の心が踊るもの・ことに自覚的であること。そのために、心を潤しておきたい。